(けいざい+)フラット35の現場:上 借金苦…後戻りできない(朝日新聞)

2021年6月22日

 新型コロナによる最初の緊急事態宣言が明けた昨夏。住宅ローン「フラット35」を仲介する金融機関の支店で、独身の20代男性が融資契約書にサインした。「投資目的には使わない」と約束する書類に気づいたが、立ち止まれなかった。

 学生時代の知人の誘いで、ファミレスでブローカーの男性に引き合わせられ「家賃収入が得られる」と勧められた。年収は約400万円。押しに弱い性格で、自動車ローンの残債200万円をブローカーに肩代わりされ、投資を断りにくくなった。

 2千万円超の物件を買うと決めると、住民票をこの物件にしばらく移すよう指示された。融資契約の直前には「投資と言わず、自分で住むと言って」と求められ、金融機関へ連れて行かれた。男性は「途中で迷ったが、『後戻りできない』という思いで言いなりになってしまった」と話す。

 決済が終わるとブローカーは態度を変えた。自動車ローンの肩代わり分を返すよう迫られ、カードローンで限度額いっぱいの100万円余りを借りさせられた。賃料収入は「コロナで入居者がいない」と1回しか払われなかった。契約書は手元に1枚もなく、物件の鍵さえ渡してくれなかった。

記事原文(けいざい+)フラット35の現場:上 借金苦…後戻りできない(朝日新聞)

https://digital.asahi.com/articles/DA3S14946807.html