かつて取材した業者が…電話で直撃 フラット35不正(朝日新聞)

2021年6月20日

~一部抜粋~

 この男性を勧誘した業者を、記者は知っていた。多くの顧客を不正にいざない、約束した賃料を払わなくなった人物だ。2年ぶりにその業者の電話を鳴らしてみた。

一度は即答した「もう…」
 2年ぶりの電話で「不正を続けていますよね」と尋ねると、相手は「もうやっていませんよ」と一度は即答した。以前、フラット35などの住宅ローンを使った不正な投資勧誘に関与していた男性(41)だ。

 男性はかつて、仲間とともに数十人を住宅ローン不正にいざなった。過剰な融資で引き出したお金は、高級クラブや海外のカジノで散財。約束した賃料を4年前に払わなくなり、自己破産に至った顧客も多い。

 2年前に会ったときは借金取りに追われ、養子縁組で名前を変えていた。金融機関が不正業者として把握する前の法人とは別の業者の代表に就いていた。「不正はもうしない」とそのとき語ったが、男性の勧誘による不正が昨年も続いていたことを、記者は最近の取材で確認している。

 記者が電話で「契約書類も含めて不正を確認しました」と伝えると、男性は「1件か2件か……まあ数件です。頼まれてやるだけで少ないですよ」と認め、続けてこうも釈明した。「お客さんに『やっちゃいけないヤツです』とは伝えますよ。こっちもリスクになりますからね。それでもやりたいと言われるからやるんです」

 男性に勧誘された顧客は「悪いことだとは言われなかった」と話しており、男性の言葉をうのみにはできない。

 不正利用が多発していることは、朝日新聞が2019年5月に報じた。フラット35を提供する住宅金融支援機構はその後、162件の不正事例と、融資に関わった業者11社を特定した。国の補助金が利子補給のために使われており、国土交通省は業者の責任も追及する姿勢を示していた。

 だが、この問題で行政処分を受けた業者はゼロだ。不正利用者となった顧客らは残債の一括返済請求などで試練を迎えるが、業者にはおとがめがなく、一部では不正が再開されている。国交省不動産業課は処分が出ていない理由などについては「コメントを控える」としている。

記事原文かつて取材した業者が…電話で直撃 フラット35不正(朝日新聞)

https://digital.asahi.com/articles/ASP6N3QM9P6GULFA02L.html