2021年5月4日
ごり押し、札束で言いなりに…不正ローンの利用者が告白
長期固定金利の住宅ローン「フラット35」をマンション投資に悪用する不正が続いている。一昨年に多くの不正事例が発覚し、金融機関は審査を強化したはずだが、その後も後を絶たない。不正に手を染めた利用者たちが重い口を開いて明かす、その実態とは――。
新型コロナ禍による最初の緊急事態宣言が明けた後の、昨年夏。フラット35を仲介する金融機関の首都圏の支店で、独身の20代男性は、差し出された融資の契約書にサインした。「投資目的には使わない」。そう約束する文言が引っかかったが、「もう後戻りはできない」という気持ちに負けた。それが、フラット35の不正利用者になった瞬間だった。
きっかけは昨年初め。学生時代の仲間から「将来の不安はないか」「話だけでも聞くといい」と不動産投資を勧められ、ファミレスでブローカーに引き合わせられた。