融資基準を満たすため、年収100万円の「水増し」
以前の記事で紹介した通り、アルヒが手掛ける投資用マンションの融資では、複数の案件で源泉徴収票など審査資料の改ざんが行われていたとみられている。フラット35では住宅ローンの不正利用や二重売買契約、架空のリフォームローン契約などの問題があるとみられているが、審査資料の改ざんについては大きく表面化していない。
フラット35でも、投資用マンションローンと同じように審査資料の改ざんはあったのだろうか。
この問題を調査している加藤博太郎弁護士は「投資用マンションローンでは主に年収200万〜300万程度の若年層が狙われたが、フラット35の方は年収300万円未満で水増しの必要があるオーナーがそれほど多くないため、審査資料が改ざんされたケースは少ないと思われる。ただし業者の証言などから、いくつかの案件で改ざんがあった可能性は高いとみている」という。
実際に、2015年5月から1年ほど「なんちゃって」スキームで物件を販売していたという男性は加藤弁護士の聴取に対し、「自分が勤めていた会社では、フラット35でも課税証明書や源泉徴収票の改ざんを行っていた」と証言。「課税証明書の原本が必要な場合は水増しした額で修正申告し、増税分の粉飾コストは会社として支払っていた」と話している。
アルヒは楽待新聞の取材に対し、「収入証明書より高い金額が契約書に記入された事案があったことは認識していない。審査資料については原本チェックを義務付けているため、よほど高度な技術を使われた場合は気付かないケースがあるかもしれないが、改ざんは考えにくいと思う」と回答した。
住宅金融支援機構は「フラット35をめぐっては、過去にも収入証明書の改ざんで刑事事件に発展したケースもあった。仮に収入証明書と契約書の年収額が違っていたことが発覚した場合、契約者がそれを認知していたかどうかなどを調査し、内容次第では一括返済を求める可能性もある」とした。
一方、虚偽の勤務先を記入する行為はあったのだろうか。
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