2019年9月10日
「店長はいますか?」
そんな電話が飲食店に続々とかかってきたのは、昨年後半から今年前半にかけてのことだった。居酒屋や焼き肉店、手羽先店など、いずれも大手がチェーン展開する店ばかりだった。
都内にある飲食店で働く20代後半の男性店長も、そんな電話を受けたひとり。たいていは平日の午後、店が少し落ちついたころに電話が鳴る。いつもは「いませんよ」とあしらっていたが、一度、うっかり「自分です」と答えたのが運の尽きだった。
「マンション経営しませんか?」
名乗った途端、電話口の男は「マンション経営しませんか?」と切り出してきた。「自己資金はいりません」「毎月2万円の収益が出ますよ」とまくし立てられ、店長は「間に合っていますから」と電話を切った。
数日後、電話の男がアポなしで店に現れた。マンション投資の資料を持参し、すげなく追い返したが、資料は強引に置いていった。後日、こんどは「客」として営業時間に来店。食事をして帰っていく。「話だけでも聞くか」。そう思い始めた矢先、男はまた電話をかけてきた。そこで連絡先を伝え、会う約束を交わした。
店を閉めたあとの午前1時過ぎ。近くのファミレスにやってきたのは、東京・新宿の不動産業者A社の名刺を持つ30~40代の男2人。電話の男は小ぎれいな身なりだったが、上司はダブルのスーツ、刈り込みの入った髪形でこわもてだった。
業者の説明では、住宅ローンで…
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