2019年8月30日
住宅金融支援機構は30日、自己居住物件用の長期固定金利型住宅ローン「フラット35」について、本来は使えない投資目的などでの不正利用が105件確認されたと発表した。融資総額は約20億円に上り、機構は一括返済を求める手続きを開始。詐欺容疑での刑事告訴も検討している。
外部から機構に通報があり、東京都内の不動産会社の社員の男(50)=現在は退職=らのグループが販売した中古マンションについて、フラット35を不正利用された可能性が発覚。機構が調査していた。105件は2016~18年に契約されたもので、住宅の購入額を水増しして融資金が引き出され、1件を除いては転貸目的で購入されていたという。
住宅の購入者には▽20代から30代前半の単身者(割合は84%)▽年収が300万~400万円台の会社員(同65%)――との特徴があり、住宅は価格1000万~2000万円台の中古(同80%)が多かった。男らの関与したフラット35の利用が他にも49件あり、機構は調査を続ける。
購入者の男性会社員(28)は契約当時、不正を認識していなかったといい、「融資金は約3000万円あるが、すぐに返せる金額ではない。不正と知っていれば購入しなかった。業者は許せない」と憤った。【松本惇】